くさつFarmers' Market

取材記事

2019.02.01

農業×福祉に取り組む「おもや」。やるなら本気で自然栽培に挑戦。

おもや[栗東市]

(2019年2月訪問)

今回訪ねたのは、滋賀県栗東市で自然栽培の野菜を育てられている「NPO法人縁活」のおもやさん。

農業×福祉に取り組む「おもや」とは?

設立者の杉田さんにお話を伺いました。

杉田さんは、すごく気さくな方で、どんな人にもフラットに、そしてなにより熱い人柄。

本気で物事に取り組む一方、遊び心楽しむ部分も持っていたいという思いを持った粋なお方です。

 

「NPO法人縁活」は、もともとグループホームを運営されており、新たに農業と福祉を結びつけた「農福連携」で障害者の就労を支援する事業所「おもや」(就労継続支援B型)を新たにスタートさせました。

就労継続支援B型とは・・・

障害や難病のある方のうち、年齢や体力などの理由から、企業等で雇用契約を結んで働くことが困難な方が、軽作業などの就労訓練を行うことができる福祉サービス

就労されている方の自立を促すために、車で行き帰りの送り迎えをせずにあえて自分たちで通ってもらっているそう。帰り道にあるスーパーであったり、コンビニであったり、人の多い駅であったり、いろんな困難や誘惑がある中で、社会との接点を持ちながら生活してもらうことが大切という考えから。

やるなら本気で。自然栽培に挑戦。

愛媛県に「農福連携」事業の研修へ行った際に、農薬も、肥料も、除草剤も使わず野菜を育てる自然栽培に衝撃を受け、おもやさんでも人にやさしい農業を実践中。

自然栽培を始めた当初は、失敗も多く、スーパーで並んでいるような規格通りのサイズにそろわないためやはり販売先や周囲の理解を得ることの苦労が多かったそうです。

 

なぜ農業を始めることに・・・?

もともとは農業に興味がなかったという杉田さん。

しかし、農業をしていたお父さんが体調を崩されたのをきっかけに農地を任されることになり、農業の魅力に飲み込まれていったそうです。

農業と言えば、農家以外なら「定年退職した後の第2の人生でやること。」みたい風潮があるけれど、これはもったいない!

そう考えた杉田さんは、自身が設立した「NPO法人縁活」という福祉の分野と農業を組み合わせて何かできないかと考え「おもや」が始まりました。

農業は一年中何かしら仕事があり、安定した就労につながったり、外に出てみんなで汗をかいて、のびのびと農業ができたらと日々創意工夫されています。

ただ、現実は大変なことも多く、思ったより作業が進まなかったり、外でやることで危険を伴ったり、時には作業終了後、できていない箇所を見て回って直したり。

それでも、前を向きパワフルに動ける杉田さんが放った印象的な一言があります。

「気づいた人が責任者。」

問題意識を持ってやる人は、大変なことも多いけれどそれが使命というか。自分のやるべきことなんだという言葉にグサッと胸に刺さりました。

 

加工所の様子

今春、5月に完成したできたてほやほやの加工所。出荷する野菜の泥とりや梱包などを行います。

お伺いした際はちょうど休憩中だったのですが、和気あいあいと和やかな雰囲気の作業場でした。

畑の様子

ハウスが3棟と何か所か近辺に畑があり、まずはハウスを見せてもらうことに。

ハウスでは苗作りやイチジクも育てられています。

隣に幼稚園、横の歩道は小学生の通学路。活気にあふれる畑の周り。

帰り道に、子どもが興味を持ち「何してんの~?」って興味をもったり、就労している人たちとの交流の場になったり。地域がかかわる仕組みづくり。めちゃくちゃ素敵です。

こんな農ある暮らしがもっと広がったらいいなぁ、とつくづく感じました。

この畑でオーガニック限定のシェアファームが始まるそうです。

使う肥料は、米ぬかやもみ殻、馬糞などを無償提供する予定だとか。

※馬糞は、引退した競走馬が殺処分されないよう保護された馬が、「ホースセラピー」の役割を担い、そこで出たもの。

 

オモヤ☆キッチン

オモヤキッチンは自然栽培で本気で作られた野菜たちを実際に食べられる自然食レストラン/カフェ。

「おもや」の事業所から歩いて2~3分。栗東駅から徒歩12分。

カウンター席もあるので一人でゆっくりするのも◎

オシャレなランチだけでなく、お昼にゆったりカフェとしても利用できます。

店舗内には、季節の野菜も販売されています。

野菜だけでなく、季節ごとに彩りを見せるスイーツも見逃せません。