2019.02.01
未来を作っていくため。20年以上、農薬に頼らない農業を続けてきた「小林ファーム」
小林ファーム[近江八幡市]
(2019年2月訪問)
今回訪ねたのは、滋賀県近江八幡市にある小林ファームさん。
畑の様子
まずは、キャベツ。
栄養が豊富の証としてホトケノザがびゅんびゅん生えている。
そして、ブロッコリーとレタス、ダイコン。この時は、台風の影響で苗が飛び散った影響で、どこにどれが植わっているか少しばらばらになってしまったらしく、収穫が大変そう。
次に見たのは冬トマト。
トマトは完全に暑い夏のイメージだけれど、まだたくさん実をつけていた。(この時は11月中旬くらい)
1ついただき、その場でぱくり。
「めっちゃあまっ・・・!」
トマトの青臭さはなく、美味しい。
他にもホーリーバジルやタイナス、ダビデ(オクラ)、種無しカボチャ、ビタミンダイコンなど、スーパーではあまり見かけない野菜がたくさん実ってた。上の写真は、ツルムラサキの花で、食べれるので弁当の飾りなどにぴったり。
小林めぐみさんってどんな人?
『しが農業女子 100人プロジェクト・耕すしが』のメンバーの一人。
小林ファームをほぼ一人で運営されていて、約20年前から滋賀県近江八幡市で農薬に頼らず、土づくりにこだわるスタイルを貫く農家さんです。
もともと肉牛飼育をされていましたが、他に担い手がいなくなった家族の畑を任されるようになり、自分で野菜を育て始めたそうです。
衝撃を与えた一冊の本との出会い
めぐみさんが小学5年生のときに衝撃を受けた本が有吉佐和子さんの著書『複合汚染』。
ー内容紹介ー
工業廃液や合成洗剤で河川は汚濁し、化学肥料と除草剤で土壌は死に、有害物質は食物を通じて人体に蓄積され、生まれてくる子供たちまで蝕まれていく……。毒性物質の複合がもたらす汚染の実態は、現代科学をもってしても解明できない。おそるべき環境汚染を食い止めることは出来るのか? 小説家の直感と広汎な調査により、自然と生命の危機を訴え、世間を震撼させた衝撃の問題作(アマゾンより)
感受性豊かな時期だったからこそ、その衝撃は余計に大きく、農業をしていく上での原点に。
この本がきっかけで、学びを進めるうちに農業をする際は、自然も、人も元気になれるスタイルをしたいと思うようになったとおっしゃっていました。
未来を作っていくための野菜作り
次の世代につながる農業を。という思いから小林ファームは有機栽培と自然栽培で野菜を育てるスタイル。
有機栽培では、農薬を使わずこだわりの堆肥を肥料として選択。
堆肥と言えば畜産の糞のイメージが強いけれど、天然の植物や魚粉を発酵させた肥料を使用されている。こだわり堆肥に加え、微生物の助けをもらう土づくり。
やっぱり良い野菜は良い土からですね。(ちなみに根菜類は無施肥)
同じ有機農業でも肥料の選び方で「それが果たしてどうなのか?」というほど差が生まれることを知ったのはこの時。
というのも、家畜の糞をいれること=家畜が食べたものを入れることになり、それが遺伝子組み換えであったり、ホルモン剤が入っていれば有機農業どうか。一概に有機農業が良い悪いの議論だけでは留まらない実情がありました。
国が産業廃棄物の上位にランクインする家畜の糞尿をどう処理するかで、農業にまわせばという考えの下、有機農業を推進しているという裏側も。
もう一方の自然栽培とは、完全に無農薬・無施肥(肥料なし)。
有機栽培も自然栽培も周りの生い茂った草を刈る程度でほとんど放置。
一見手間がかからず簡単そうに見えるけれど、一番大変なのは虫の被害。
有機栽培や自然栽培は同じ品種を大量に出荷することは難しいけれど、それが本来の農業で「分散することでもっと自然に負荷をかけない農業がひろがるんじゃないかな。」と。
自然をコントロールするのではなく、受け入れて前に進む姿がほんとにかっこいい。
『農』に対する思い
先ほど紹介した『複合汚染』から受けた影響もあってか、めぐみさんの口から出る多くは、「食べる側の人」そして「環境」への配慮の言葉。
途中、ボソッと言われた
「人間はいるだけで自然破壊してる気が・・・」
って言葉にすごくひっかかった。
食物連鎖の頂点にいる人間。人の都合でいろいろな変化が引き起こされている。
僕自身も感じるけれど、この罪悪感はどこからくるんだろう…。
(感じない人は一切感じないだろうし、)
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