くさつFarmers' Market

取材記事

2019.04.03

「草や虫が好きだから。」無農薬で育てる野菜のかわいさ、力強さ、美味しさ

河合雲平[大津市]

ここには春菊が育っています。
「草や虫が好き。」と話されていた雲平さん。


雑草と呼ばれる ”ホトケノザ”や”オオイヌフグリ”も気持ちよさそうに咲いています。
今回訪問したのは、大津市で野菜を育てられている 河合雲平さんの畑。
有機のお野菜は、時には不揃いだけど個性が豊かで愛おしい。
カラフルな蕪・人参・ユニークな形のかぼちゃ・茄子など、どうしても気になってしまう雲平さんのお野菜の「かわいさ」「力強さ」「美味しさ」
そんな雲平さんの野菜畑を訪問し、お話を伺いました。

農業への入り口は沖縄から

20代の頃、雲平さんは沖縄でパイナップル農家のお手伝いをしながらトレッキングやカヌーのガイドをされていたそう。
「外が大好き」とワイルドさを漂わせる雲平さんですが、動物や植物のことを学んでこられた経緯もあり、とにかく生き物に優しいという印象がありました。

自分が食べたい野菜を育てるのがポリシー

沖縄から滋賀県に戻って、野菜を育て、販売を始めて6年目。
訪問した2019年には、年間50品種以上の野菜を育てられていました。
自分がこどもの頃に食べていた「つるむらさき」や、おばあちゃんが残してくれていた種など自分が食べたいものを中心に育てているのだそう。
その多様な品目は、夏の茄子だけでも6種。じゃがいもは4品種になります。
その他にも、ビーツやジャンボ落花生、ソラマメ、スナップエンドウ、そして香り高いハーブ・・・
実り豊かな畑を写真と共にご紹介します。


これは、黒キャベツ(カーボロネロ)。なかなかスーパーでは見かけないお野菜ですね。炒めても、スープに入れてもおいしいです。


これは、白菜の花菜(菜花)です。
お伺いした3月半ばには、かぶ・青梗菜(チンゲンサイ)・かき菜などのアブラナ科の花菜が育っていました。


好き嫌いが分かれますが、数年前から日本でも人気のパクチー。
「冬のパクチーは、甘いよ。」
その場で摘んでかじらせてもらったら、茎まで甘く、独特の香りがたまりませんでした。


これは、にんにく。


種を播いたばかりの畑では、不織布の下でいろいろな芽がでていました。

個性を愛でる。お野菜の栽培

雲平さんの畑のある周辺の土地は、すぐ横を流れる大戸川の氾濫に何度も見舞われた砂地で、葉野菜などを大きく育てるのは難しい土質。
でも化学肥料は使いたくない!という想いがある雲平さん。


「大きくしなくては!」ではなく、小さいものを収穫してサラダセットにして売るという工夫をされています。
買う側にとっても、いろいろな葉野菜がカラフルにセットされていると見た目も華やかで一度にいろいろな野菜の栄養も取れて魅力的です。

生き物との共存

「農薬を買ったこともなければ、撒く道具も持っていない。」と笑って話されていました。
そして、肥料には化学肥料を使わず、鶏糞や牡蠣殻が使われています。
また、ひばりが畑に巣をつくることがあって困ると話されていました。
私はてっきり、野菜の成長を妨げ、邪魔になるからだろうと思ったのですが、「鳥がかわいそうで除けられないから。」と、どこまでも生き物に優しい方でした。

執筆後記

畑を案内してもらいながら、
「オクラは天ぷらにしてもおいしい。」
「ビーツの葉っぱはスイスチャードのように食べられるよ。」
と農家さんならではの食べ方を教えていただきました。
こんな風に、農家さんから直接食べ方を教えていただけるのも、ファーマーズマーケットの醍醐味。
顔が見える農家さんと話すからこそ広がる食卓の喜びがきっとあるはず。
素敵な農家さんと繋がった!そんな声が聞こえてくることを願っています。